Apple、史上最薄iPhone Air発表の裏に革新技術：極薄USB-Cポートの秘密

AppleがUSB-Cを搭載した史上最薄のスマートフォン「iPhone Air」を発表し、大きな注目を集めています。かつてAppleはLightningポートの薄さをUSB-Cに対する優位点としていましたが、最新のiPhone AirではUSB-Cポートが驚くほど薄く、その筐体がほとんど見えないほどに小型化されました。この画期的な薄型化は、Appleが最新のApple Watch Ultra 3とiPhone Airに導入した、ある新しい製造プロセスによって実現されています。

 チタンをレーザーで削り出す革新的な3Dプロセス

その秘密は、チタン粉末を用いた新たな3Dプリンティング技術にあります。一般的な3Dプリンティングが接着剤と粉末を混ぜて層を重ねる方式なのに対し、Appleが採用したのは、レーザーを用いてチタンブロックから直接、必要な形状を削り出す革新的なプロセスです。この技術は、分解専門のiFixitの分析でも確認されており、もともとドイツのドレスデン工科大学などで開発され、チタン製歯科インプラント向けに科学誌「Nature」で発表されたもの。特殊な表面構造により、骨への接着性や抗菌性を高めることを目的としていました。

 iPhone Airにもたらされる多大な恩恵

iPhone AirのUSB-Cポートでは歯科インプラントのような抗菌機能は備わらないものの、この新プロセスはデバイスに多くの恩恵をもたらします。部品の極限までの薄型化に加え、USB-Cからの充電時に重要な

 耐熱性の向上

を実現。Apple Watch Ultra 3では

 防水性能の向上

が報告されており、また、筐体フレームに粗い表面構造を付与することでアンテナの接着性を高めるなど、これまで平面でなければならなかった部分にも新たな構造を組み込めるようになりました。iPhone AirのUSB-Cポートにも同様の機能が期待されます。

さらに、この新しい製造プロセスは環境面でも優れた特性を持ちます。エネルギー効率が高く、従来の生産方法に比べて原材料の使用量を約50%削減。これにより、年末までに400メートルトンものチタンを節約できる見込みです。

iPhone Airの驚異的な薄さと性能は、この革新的なチタン製USB-Cポート製造技術が大きく貢献していると言えるでしょう。薄さ、耐熱性、そして製造におけるエネルギー効率といった多岐にわたる面で、Appleの最新技術が光ります。