Bloombergの報道によると、米Appleが自社のストリーミングサービス「Apple TV」向けに、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー（WBD）が保有する膨大なコンテンツカタログの買収に関心を示していることが明らかになりました。

WBDはHBO、CNN、ワーナー・ブラザース、DCエンターテインメント、ディスカバリーチャンネル、カートゥーンネットワークなど、数多くの有名ブランドを傘下に持ち、数千もの主要なテレビ番組や映画を保有しています。同社は現在、パラマウントやスカイダンスのような大手企業による買収、あるいはストリーミング事業などの資産売却による分割を検討していると報じられています。

関係者２名によると、Appleは特にWBDの広範な映画・テレビライブラリと制作資産の取得に関心を表明している模様です。買収が実現した場合、WBDの他の事業は保持されるか、他の買い手に売却されることになります。Netflix、Comcast、Amazonといった競合他社もこの買収提案に関心を寄せていると伝えられています。

これまでApple TVは、他スタジオからのコンテンツ取得やライセンス供与ではなく、オリジナルコンテンツの制作に重点を置いてきました。このため、今回の報道は同社の戦略転換を示唆する可能性があります。Appleのサービス部門責任者であるエディ・キュー氏は、過去の買収に関する憶測に対し、「何事にも『ノー』とは言わないが、積極的に規模の大小を問わず企業買収を検討しているわけではない。自社で物事を構築することを好む」と述べています。

また、ワーナー・ブラザース買収の可能性を直接問われた際には、「驚きだが、何が起こるか分からないので決してノーとは言わない」と回答しました。

WBDは早ければ今週中にも、潜在的な入札候補者に対し秘密保持契約（NDA）の締結を求める見通しです。Appleは先週、F1レースを2025年から5年間、米国でApple TV独占配信とする7億ドルのパートナーシップ契約を発表したばかりで、コンテンツ拡充への意欲を示しています。