ポーランド、Appleの広告追跡透明性（ATT）巡り独占禁止法調査開始

ポーランド競争・消費者保護庁（UOKiK）は、米アップルが導入した「App Tracking Transparency（ATT）」フレームワークが、モバイル広告市場での競争を不当に制限している疑いがあるとして、独占禁止法調査を開始しました。

ATTは2021年4月にiOS 14.5などで導入された機能で、iPhoneやiPadのアプリがユーザーの許可なしに他のアプリでの活動を追跡することを禁じるものです。アップルはユーザー保護が目的と主張してきましたが、広告主やデータ仲介業者からは不評を買っています。

UOKiKは、ATTがアップル自身の広告サービスを有利にし、第三者アプリがパーソナライズ広告に必要なユーザーデータを収集する能力を制限している可能性を指摘しています。UOKiKのトマシュ・フロストニー長官は、「ATTポリシーがプライバシー保護のレベルについてユーザーを誤解させ、同時に独立系パブリッシャーに対するアップルの競争優位を高めている可能性がある」と述べ、「このような行為は支配的地位の濫用にあたる可能性がある」との見解を示しました。

疑いが事実と判断された場合、アップルはポーランドでの年間売上高の最大10％の罰金を科される可能性があります。

アップルはこれに対し、「データ追跡業界がユーザーのデータ管理権を取り戻す我々の努力に反対するのは驚きではない」と反論。集中的な圧力によってこの機能が撤回されれば、欧州の消費者に不利益が生じるだろうとコメントし、ポーランド当局と協力する姿勢を示しました。

なお、ドイツ、イタリア、ルーマニアでも同様の調査が進められており、フランスでは今年3月、ATTの導入を巡り、アップルに1億5000万ユーロ（約260億円）の罰金が科されています。