Mac Pro、事実上の終焉か？ Apple、高性能デスクトップ戦略をMac Studioに集約へ

長らく次期モデルの動向が注目されてきたデスクトップPC「Mac Pro」について、米ブルームバーグのマーク・ガーマン記者が、Appleがその開発を「事実上、断念した」と報じました。Appleは、高性能デスクトップを求めるターゲット層は「Mac Studio」で十分対応できると考えている模様です。

このニュースは、過去10年間のMac Proの扱いを考慮すると、それほど驚くべきことではありません。2006年にIntel CPUを搭載して登場したMac Proは、当初は1〜2年ごとに定期的にアップグレードされていました。しかし、2013年の円筒形デザインへの変更後、その設計がアップグレードの制約となり、同社は再びタワー型デザインに戻しました。その後もアップグレードは散発的で、Appleシリコンへの移行も最後発となり、M2 Ultraチップを搭載した現行モデルで止まっています。

 開発中止の背景：コストと需要の不均衡

AppleがMacの市場シェア拡大を目指す中で、Mac Proがその戦略から外れた理由は、ひとえに「販売台数の少なさ」にあるようです。開発コストに見合わないほど販売ボリュームが低く、費用対効果が見込めないと判断されたとみられます。Mac ProユーザーはCPU速度よりもPCI拡張スロットを重視する傾向があり、頻繁なアップグレードを行わないため、いまだにIntelベースのMac Proを使用しているユーザーも少なくないと指摘されています。

 Mac Studioが性能の頂点に

これにより、AppleのMac製品における性能チャートの頂点は、事実上「Mac Studio」が担うことになります。Mac Studioは速度面で多くのニーズを満たし、外部Thunderboltデバイスによってある程度の拡張性も確保できます。購入後のCPU、GPU、RAMのアップグレードはできませんが、これはMac Proを含む他の全てのMac製品にも共通する点です。

また、以前Mac Proに搭載が噂されていたM4 Ultraチップは、既に開発が中止されたとも報じられています。Appleは今後、MシリーズのUltraチップを2年周期で投入する可能性が高く、現在Apple最速のM3 Ultraは、最高峰のMac Studioに搭載されています。

今回の報道は、高性能デスクトップを求めるMac Proユーザーに対し、よりコンパクトな「Mac Studio」への移行を検討するよう促すメッセージとも受け取れます。