Appleから新たに登場した「M5 MacBook Pro」は、前モデルのM4に比べてグラフィック性能とSSD速度で大幅な向上を遂げています。しかし、その一方でチップの動作温度が上昇し、より多くの電力を消費することが指摘されており、新たな課題として浮上しています。

テクノロジーメディアMax TechのVadim Yuryev氏が行った検証では、M5チップの性能向上を確認する一方で、高負荷時の発熱が顕著であることが示されました。特に3Dレンダリングテスト「Cinebench」のような集中的なタスクでは、M5は温度を管理するためにパフォーマンスを抑制する「スロットリング」を起こすことが判明。M5 MacBook Proに搭載されている唯一のファンは、M4モデルよりも高速に稼働します。Yuryev氏はサーマルカメラを用いたテストでも、M5 MacBook ProがM4モデルよりも全体的に高温で動作していることを確認しています。

この高い動作温度が直ちに問題となるわけではありません。システムはチップの安全な動作と一定の性能レベルを維持するよう設計されています。しかし、Yuryev氏は、M5 MacBook Proのシングルファン設計が最適とは言えず、追加のファンや異なる冷却方式があれば、M5チップの潜在能力をさらに引き出せる可能性を指摘しています。

Appleがこの冷却システムを採用しなかった背景には、コストが大きく影響していると見られます。M5 MacBook Proは、1,599ドルから始まるAppleのエントリーレベルのプロ向けマシンです。一方、上位モデルの「Pro」および「Max」バリアントは1,999ドルからで、これらには最初から2基のファンが搭載されています。M5チップを搭載したProおよびMaxモデルは、来春に登場すると予想されています。