Apple次期iPhone向け「A20」チップ、製造コスト大幅高騰の懸念

Appleが来年投入するiPhoneモデル向けの次世代チップ「A20」の製造コストが、大幅に上昇する可能性が浮上しています。この「A20」チップは、初の広く利用可能な2ナノメートル（nm）プロセスを採用する見込みで、性能と電力効率の大幅な向上が期待されています。

半導体受託製造大手TSMCは、顧客であるAppleに対し、2nmチップの価格が従来の3nmプロセッサと比較して少なくとも50％以上高くなると伝えたと報じられています。これは、2nmノードへの巨額の設備投資と、歩留まりが初期段階であるため割引戦略が取れないことが主な原因とされています。

業界関係者は、2nmプロセスで製造されるフラッグシップ向けモバイルチップの単価が、量産開始時には約280ドル（約4万4000円）に達すると予測しています。

これは、DigiTimesの昨年のレポートでA18チップのコストが約45ドル（約7000円）とされていたことと比較すると、約6倍に跳ね上がる計算です。仮にこの予測通りであれば、「A20」チップはiPhoneの中で最も高価な部品となり、Appleの利益率に深刻な影響を与える可能性があります。

このコスト増を顧客に転嫁しない場合、Appleは利益率を維持するため、2nmチップの搭載モデルを一部に限定する可能性も指摘されています。著名なアナリストであるミンチー・クオ氏も昨年9月、「コスト懸念から、全てのiPhone 18モデルに2nmプロセッサが搭載されるわけではないだろう」と警告していました。

今後、Appleがこの高騰するチップコストにどう対応し、次世代iPhoneの価格戦略にどのような影響が出るのかが注目されます。