Vision Pro、M5チップ搭載の新モデルが登場：快適性向上とパフォーマンス強化の先行レビュー

今週水曜日の発売を控え、Appleの空間コンピュータ「Vision Pro」の新モデルに関する先行レビューが、一部メディアやYouTubeチャンネルで公開されました。M5チップの搭載、快適性が向上した「Dual Knit Band」の同梱、そして120Hzのリフレッシュレート対応が主な変更点です。

 # M5チップで処理性能と映像体験が向上

新モデルに搭載されたM5チップは、前モデル（M2チップ搭載）と比較して、特に処理負荷の高い作業においてパフォーマンスの安定性が大幅に向上したと評価されています。レビューでは、Mac Virtual Display機能使用時や複数のウィンドウを開いた際でも、M2モデルで見られた遅延やカクつきが解消され、より持続的で安定した動作を実現したと報じられています。

Appleは、M5チップにより「foveated rendering（中心窩レンダリング）」性能が強化され、前モデルより10%多くのピクセルをレンダリングできると説明。これにより、120Hzのリフレッシュレートと相まって、visionOS上のコンテンツがより鮮明かつ滑らかに表示されると評価されています。

しかし、CNETのレビューアは「劇的な改善ではない」とし、多くの主要部分は変わっていないと指摘。視野角の狭さやトラッキング性能は前モデルと同等であるとの見方を示しています。

 # 新型「Dual Knit Band」で装着感が大幅改善

前モデルで懸念された長時間の装着時の不快感に対し、新モデルでは同梱された「Dual Knit Band」が大幅な改善をもたらしました。このバンドは、頭頂部と後頭部にストラップが配置され、さらに後頭部のストラップにはタングステン製のカウンターウェイトが内蔵されています。

これにより、デバイス全体の約600gの重量が頭部全体に分散され、顔への圧迫感や首への負担が軽減されたと複数のレビューアが評価。「長時間装着しても顔がずり落ちるような感覚がなくなった」「首の疲れを感じない」といった感想が寄せられています。

一方で、Dual Knit Bandのカウンターウェイトにより、デバイス全体の重さは前モデルよりも約140g（5オンス）増加しており、装着時の「かさばる感覚」は依然として残るとの意見も聞かれました。このDual Knit Bandは単体でも99ドルで販売され、新旧両モデルに対応します。

 # バッテリー寿命も改善

バッテリー寿命についても改善が見られ、一回の充電で最大2.5時間の使用が可能となりました。ビデオ再生時は最大3時間まで延長され、これは前モデルと比較してそれぞれ30分の延長となります。

 # 総評：QoL向上に留まり、買い替えを促す劇的変化はなし

多くのレビューアは、新モデルが「生活の質の向上」をもたらす改善点を含んでいるものの、「劇的なアップグレードではない」と結論付けています。Vision Proは依然として高価でニッチな製品であり、既存モデルのユーザーが買い替えるほどの大きな理由はないとの見方が大勢を占めました。

Appleは、次世代の主要な取り組みとして拡張現実（AR）グラスに焦点を移していると報じられており、今回のVision Proモデルが、しばらくの間最後のVision Proモデルとなる可能性も示唆されています。