Amazon Alexa、「壊滅的失敗」と評価で年間100億ドル損失の見込み – かつて市場を席巻したスマートスピーカーの皮肉な転換

かつてスマートスピーカー市場のパイオニアとして絶賛され、Appleが参入の遅れを批判されたAmazonのAlexa部門が、年間100億ドルの損失を計上する「壊滅的な失敗」に直面していることが明らかになりました。業界の専門家からは、その皮肉な状況に注目が集まっています。

 過去の栄光と皮肉な評価

2010年代半ば、Amazon Echoは手頃な価格で市場を席巻し、その成功は広く報じられました。当時、Appleはスマートスピーカー市場への参入が遅れていると批判され、Amazonがこの分野の勝者と目されていました。

しかし、興味深いことに、2016年第4四半期における全スマートスピーカーの販売台数は、同時期のApple Watchの販売台数とほぼ同程度でした。にもかかわらず、Alexaは「大成功」、Apple Watchは「失敗」という真逆の評価を受けていたのです。

 急転直下の現状：年間100億ドルの損失

それから6年後の2022年、状況は一変しました。テクノロジーメディアArs Technicaの報道によると、AmazonのAlexa部門は「壊滅的な失敗」と評価されており、この会計年度で100億ドルもの損失を出す見込みです。

2017年のヘッドラインが「Apple、スマートホーム市場で『大敗』し、Amazon Echoへの対抗策が必要」であったのに対し、2022年のヘッドラインは「Amazon Alexaは『壊滅的な失敗』、今年100億ドル損失のペース」というものでした。つまり、かつて「大敗」したとされた相手が、今や「壊滅的な失敗」に陥っているという、なんとも皮肉な結果となっています。

 利益なきベストセラーと広告攻勢

Amazonがこのような状況に陥った主な原因は、Echoデバイスの販売戦略にあります。レポートによれば、EchoシリーズはAmazonで最も売れている商品の一つであるにもかかわらず、そのほとんどが「原価」で販売されているため、利益をほとんど生み出していません。高利益率を企業戦略の中核とするAppleとは対照的なアプローチです。

この状況を打破するため、AmazonはEcho製品ラインを収益化する「奇妙なトリック」に打って出ていると報じられています。それは「広告」です。最近では、ユーザーからAmazonのスマートディスプレイに表示される「パーソナライズされた広告」が多すぎるとの不満が噴出し、「購入を後悔している」という声も上がっています。ある報告では、スライドショーを再生中に2枚の写真ごとに1回広告が表示されるほど、広告の頻度が高いケースもあると指摘されています。AmazonはEcho Showの広告表示回数の増加についてはコメントを拒否しています。

 AI時代の新たな挑戦

莫大な損失と大規模な人員削減にもかかわらず、Amazonは新しいEchoハードウェアと、AIを搭載したAlexaソフトウェア（「Alexa+」）をリリースし続けています。

AIブームが過熱する中、企業がAIからどのように具体的な利益を生み出すのかは、いまだ不明瞭な部分が多いのが実情です。Appleも今回のAI分野の出遅れをかつてないほど強く意識しているとされますが、実質的な収益モデルの確立が、今後のAmazonとAI市場全体の大きな焦点となるでしょう。