iPhone 4「アンテナゲート」の真相：問題解決はわずか20バイトのコード修正だった？ 逆解析で判明

AppleがかつてiPhone 4で直面した「アンテナゲート」問題。特定の持ち方で電波が大幅に低下するという苦情に対し、AppleはiOS 4.0.1アップデートで対応しましたが、その具体的な内容は明かされていませんでした。

しかし今、デザイナー兼エンジニアのSam Henri Gold氏が同バージョンのコードを逆解析した結果、この問題への対応がわずか20バイトのコード変更で完了していたという衝撃の事実が明らかになりました。

 # 「アンテナゲート」問題の再確認

iPhone 4は、それまでのモデルから大幅なデザイン変更が施され、ガラス製ボディとスチールフレームがWi-Fiおよび携帯電話のアンテナを兼ねる構造を採用しました。発売直後、多くのユーザーが特定の持ち方で電波が著しく低下すると報告。「アンテナゲート」という言葉がSNSで瞬く間に広がり、スティーブ・ジョブズ氏も「その持ち方を避けるように」と発言し、さらなる物議を醸しました。

 # Appleの説明とアップデート

Appleは当時、プレス向けに書簡を発表し、問題の原因はiOSが電波強度をバーで表示する計算式にあると説明。「実際は電波が弱い地域にいるにもかかわらず、誤って4本や5本のバーを表示していたため、急な電波低下がユーザーに混乱を与えた」と述べました。そして、AT&Tが推奨する新しい計算式をiOS 4.0.1で導入し、電波強度をより正確に表示すると発表しました。

 # 逆解析で判明した「わずかな変更」

Appleがこの計算式の具体的な変更内容を公表することはありませんでしたが、Gold氏のX（旧Twitter）への投稿によると、元の計算式では多くの状況で誤って多くのバーが表示され、ユーザーは実際よりも良好な電波状況だと誤解していました。特定の持ち方で電波が実際に弱くなった際、急激にバーが1本や2本に減少するため、ユーザーはデバイスの不具合だと感じていたのです。

iOS 4.0.1のアップデートでは、この電波表示の計算式が修正されました。これにより、電波強度の低下がより滑らかで正確にバーに反映されるようになり、ユーザーが電波状況を誤解することが減少しました。また、iOSのステータスバーに表示される電波バーの高さも変更され、弱い電波に対するユーザーの不安を和らげる効果があったとみられています。

 # ハードウェアによる根本解決

このコード修正に加え、Appleは当時、iPhone 4購入者全員に無料のバンパーケースを提供し、アンテナ部分への直接的な接触を防ぐ措置も講じました。そして、翌年に発売されたiPhone 4sでは、ステンレススチールフレーム上のアンテナ配置を再設計することで、「アンテナゲート」問題を根本的に解決しました。

最終的にはハードウェアの改善で問題は完全に収束しましたが、数百万ものiPhone 4ユーザーにとっては、わずか20バイトのコード変更が当時の使用体験に大きな影響を与えていたのです。