アップルがAI（人工知能）市場への参入で出遅れていることは広く知られていますが、AI製品の提供を急ぐ中でつまずいているのは同社だけではないようです。

OpenAIと著名デザイナーのジョニー・アイブ氏が共同で開発を進める秘密裏のAIデバイスは、来年の発売を目指しているものの、一連の技術的な問題に直面しています。

アイブ氏のチームがハードウェアを手がける一方で、デバイスのソフトウェアやそれを稼働させるためのインフラに課題が残っていると報じられています。具体的には、AIアシスタントの「個性」設定、プライバシー問題、そして予算の問題が含まれます。

このデバイスはスマートフォンのようなサイズで、画面がなく、カメラ、マイク、スピーカーを通じてユーザーと対話するとされています。複数のカメラを搭載する可能性も示唆されており、「常にオン」の状態になる見込みです。コンセプトは「奇妙なAIガールフレンドではない、コンピューターの友達」とされています。

このデバイスの目的の一つは、ジョニー・アイブ氏が近年懸念している、人々がスクリーンに没頭することによる悪影響から人間を解放することにあるかもしれません。しかし、スクリーンなしの対話型デバイスが人々のスマートフォン利用習慣を変えることができるかについては、疑問の声も上がっています。

OpenAIは最近、評価額が5000億ドルに達し、イーロン・マスク氏率いるSpaceXを抜いて世界で最も価値のある非公開企業となりました。同社はChatGPTの成功に加え、ハードウェア分野への進出によってこの高い評価を正当化しようとしています。

過去には、類似のAIハードウェアであるHumane Pinが、多額の資金を調達したにもかかわらず、最終的にHPに買収されるという事例もあり、AIハードウェア開発の難しさが浮き彫りになっています。

アップルはSiriの強化という課題を抱えていますが、AI製品のリリースを急ぐ中で困難に直面しているのは同社だけではありません。AI市場の競争は激化する一方で、技術的な障壁やプライバシーなどの問題が、多くの企業にとって大きな課題となっています。