Apple、Apple WatchとMac miniの「カーボンニュートラル」表示を全世界で撤回

Appleが自社ウェブサイトにおいて、Apple WatchおよびMac mini製品に表示していた「カーボンニュートラル」の認証を、全世界で取り下げたことが明らかになりました。これは、ドイツでの法廷判決や、EU圏における新たな規制導入の動きが背景にあると見られています。

これまで、Apple Watch Series 10やApple Watch Ultra 2は、特定のバンドと組み合わせることで「カーボンニュートラル」と表示されていました。しかし、新たに発表されたApple Watch Series 11やApple Watch Ultra 3の製品ページからは、この記述が完全に削除されています。

同様に、Mac miniも以前は「カーボンニュートラル」として宣伝されていましたが、9月のiPhoneイベント以降、ハードウェアの更新がないにもかかわらず、全世界のウェブサイトでその表示がなくなりました。

この動きの発端は、ドイツの裁判所が、地元の環境団体がAppleを「グリーンウォッシング」で告発したことを受け、Apple Watchの「カーボンニュートラル」広告表示を禁じたことにあります。Appleは判決後すぐにドイツ語サイトから当該表示を削除し、その後、世界中の製品ページから全てのカーボンニュートラルの言及を撤回するに至りました。

Appleは以前、EUにおいて、炭素排出量オフセットプロジェクトや「カーボンクレジット」に紐づく「カーボンニュートラル」の主張を禁止する規制が導入されることに先立ち、EU圏全体で表示を撤回する計画だと説明していました。しかし、最終的には米国を含む全世界の製品ページから、この表示を削除する決定を下しました。

2023年のプレスリリースでAppleは、カーボンニュートラルなApple Watchモデルの厳格な基準として、製造と製品使用における100%クリーン電力の利用、重量で30%以上のリサイクルまたは再生可能素材の使用、そして出荷の50%以上が航空輸送以外で行われることなどを挙げていました。これらの取り組みにより、製品の排出量を少なくとも75%削減し、残りの少量の排出量については「高品質のカーボンクレジット」で相殺すると説明していました。

Appleは、カーボンクレジットが主に「草原、湿地、森林の回復など、大気から炭素を除去する自然ベースのプロジェクト」から得られるとしていました。例えば、パラグアイの森林伐採された土地で、木材生産のためのユーカリの急速成長林を開発するプロジェクトへの協力も含まれていました。

しかし、一部の生態学者は、これらの植林が生物多様性を損ない、大量の水を消費する可能性があると指摘していました。

今後、Appleがカーボンクレジットをどのように活用していくのか、その計画は現時点では不明です。