『Hollow Knight: Silksong』Mac版レビュー：約10年を経て登場、待望の続編は前作を超えるか

人気アクションゲーム『Hollow Knight』の待望の続編『Hollow Knight: Silksong』が、長年の開発期間を経てついにリリースされました。MacユーザーもWindows版と同時にプレイできる数少ないAリストタイトルとなる本作は、果たして前作の栄光を受け継ぎ、Macゲーマーに新たな感動をもたらすのでしょうか。その魅力と課題を探ります。

 Macユーザー歓喜！ Intel Mac、Apple Siliconに完全対応

本作最大の魅力の一つは、MacユーザーがWindowsユーザーとほぼ同時期に楽しめるという点です。前作『Hollow Knight』が2017年の発売当初からMacに対応していたこともあり、開発元Team Cherryは今回もMacサポートを約束。Intel MacとApple Siliconの両方に対応し、古いMacでも4K解像度でスムーズに動作する軽快さが確認されています。価格も19.99ドル/16.75ポンド（Steam/GOG）と手頃で、一度購入すればPC版とMac版のどちらもダウンロードできるのは嬉しい限りです。

 大ヒット作の系譜を受け継ぐ、緻密な世界観

わずか3人の開発チームが生み出し、数百万本を売り上げた前作『Hollow Knight』の成功は、『Silksong』への大きな期待につながりました。Team Cherryは安易な続編に走らず、同じ開発チームと、前作の心揺さぶるスコアを手掛けた作曲家クリストファー・ラーキンと共に、約10年の歳月をかけて本作を練り上げました。

主人公は前作のホロウナイトから、新たな冒険を繰り広げる「ホーネット」へと変更。新王国ファールームを舞台に、手描きによる美しいグラフィックとアニメーション、そしてラーキンの卓越したサウンドトラックが織りなす独特の世界観は健在です。ホーネットの素早い動きに合わせ、ステージデザインもより広大に、そしてダイナミックに進化しています。

 挑戦的な難易度と課題

ゲームプレイは、横スクロールの2Dアクションとして前作のメカニクスを踏襲しつつも、ホーネットの針と糸を使った戦闘や新たな能力が加わり、約200種類の敵との激しい戦いが繰り広げられます。本作は前作以上に挑戦的な難易度を誇り、プレイヤーの反射神経と精密な操作が求められます。

一方で、課題も指摘されています。ゲームコントローラーの使用が最適とされており、キーボードでの操作ではホーネットの動きを最大限に引き出すのが難しい場面も。また、セーブシステムは前作と同様に特定の場所（ベンチ）でのみ可能で、攻略に失敗すると長い距離をやり直す必要があり、フラストレーションを感じるプレイヤーもいるかもしれません。初心者向けのチュートリアルがない点も、新規プレイヤーにとってはハードルとなる可能性があります。

 総評：Macユーザーに捧ぐ、珠玉のメトロイドヴァニア

『Hollow Knight: Silksong』は、手描きグラフィックの美しさ、流れるような戦闘、そしてTeam Cherryが細部にまでこだわり抜いた世界観が際立つ、傑出したプラットフォームゲームです。難易度の高さやセーブシステムの制限といった課題はあるものの、プラットフォームゲームややり応えのあるボス戦を求めるMacゲーマーにとって、本作に匹敵する作品はそう多くありません。約10年の歳月をかけた開発期間を経て、本作は『Hollow Knight』の正当な後継作として、Macユーザーに新たな冒険の扉を開くことでしょう。