EU、アップルなど大手テック企業にオンライン詐欺対策で照会へ – アップルは規制の矛盾を指摘

欧州連合（EU）が、アップル、グーグル、マイクロソフト、ブッキング・ドットコムなどの大手テック企業に対し、オンライン金融詐欺の防止策が十分であるかについて照会を開始したことが報じられました。

欧州委員会（EC）の技術責任者ヘンナ・ヴィルックネン氏は、ECがこれらの企業に対し、欧州市民を狙ったオンライン詐欺の阻止に向けた取り組みに関する情報の提出を求めると述べています。同氏によると、金融詐欺はECにとって新たな優先事項であり、テック企業が「不正行為の検知と防止に最大限の努力をしている」ことを確認したい考えだといいます。

具体的な照会内容としては、アップルとグーグルに対しては、アプリストア内での偽アプリ（偽銀行アプリなど）への対応について質問。グーグルとマイクロソフトには、Google検索やBingにおける偽の検索結果について、ブッキング・ドットコムには偽の物件リストについて情報が求められます。

現時点では情報照会に留まっていますが、将来的には調査に進み、EUのデジタルサービス法（DSA）に基づき、企業の年間世界売上高の最大6％の多額の罰金が科される可能性もあります。

これに対し、アップルは米メディアMacRumorsへの声明で、進化する詐欺の手口から消費者を守るため、継続的に詐欺対策を強化してきたと強調しました。一方で、EU法が代替アプリ市場のサポートを義務付けていることが、今回の詐欺調査と矛盾していると指摘。代替アプリ市場はアップルの詐欺対策を迂回する可能性があり、ユーザーをより大きなリスクに晒すと警鐘を鳴らしています。

アップルは、App Storeの厳格な審査プロセスを通じて詐欺を防止し、ユーザーを保護していると主張しています。2024年には20億ドル以上の不正取引を阻止し、14万6,000件以上の開発者アカウントを詐欺の懸念から停止、190万件のアプリ申請をセキュリティや信頼性、プライバシー侵害などの理由で却下したと報告しています。

EUでは、アップルはApp Store以外からのアプリインストールを可能にする第三者アプリ市場をサポートする義務があります。アップルはこれまで一貫して、このデジタル市場法（DMA）に基づく代替アプリ市場の義務化が、ユーザーを詐欺に晒し、アップルのセキュリティ基準を弱めるものだと主張しています。