Appleは、iPhoneやiPad向けにセキュリティパッチを迅速に提供する仕組みを刷新する模様です。2年以上停止していた「Rapid Security Responses」が、新機能「Background Security Improvements」として再構築され、次期iOSのベータ版でその存在が確認されました。

この新機能は、ユーザーが意識することなくバックグラウンドでセキュリティ更新を自動適用する点が最大の特徴となります。

 # 迅速なセキュリティ対応が自動化へ

2022年のiOS 16で導入された「Rapid Security Responses」（RSR）は、iOSのメジャーアップデートを待たずに、緊急性の高いセキュリティ修正を迅速に配信する画期的な機能でした。しかし、2023年7月の初回リリース以降、2年以上にわたりこの機能の提供は途絶えていました。その背景には、最初のリリースで一部のウェブサイトに不具合が生じ、一時的に取り消し・再配信された経緯がありました。

今回、ベータテスター向けに公開されたiOS 26.1ベータ1のコード解析から、「Background Security Improvements」という新名称の機能の存在が確認されました。新システムも、緊急性の高いセキュリティパッチを迅速に提供するという、従来と同じ目的を果たすものです。

 # 手動からサイレント自動適用へ

しかし、RSRとBSIの最大の相違点は、そのインストール方法にあります。これまでのRSRは、ユーザーが設定アプリから手動でダウンロードする必要がありました。一方、Background Security Improvementsでは、デバイスにサイレントに、つまりユーザーが意識することなくバックグラウンドで自動的にインストールされるようになります。

ただし、この自動適用機能は、将来的にユーザーが任意で有効／無効を設定できるようになる可能性があるとのことです。パッチ適用後にiPhoneの再起動が必要になるかどうかは現時点では不明ですが、RSRでは「必要に応じて」再起動が求められる場合がありました。

 # ロールバック機能も搭載、他プラットフォームにも展開

さらにAppleは、万が一問題が発生した場合にBackground Security Improvementをロールバック（取り消し）できる機能も導入する模様です。これは、2023年のRSRで発生した不具合の教訓が活かされたものと見られます。これにより、Appleは主要なiOSアップデートに縛られることなく、再びタイムリーなセキュリティパッチの提供が可能となります。

このBackground Security Improvementsは、iOSだけでなくmacOSなど他のAppleプラットフォームにも展開されることが、コードから示唆されています。iOS 26.1の一般公開時期は未定ですが、10月頃のリリースが予想されています。