長らく待望されているApple初の折りたたみiPhone（通称iPhone Fold）の登場が待たれる中、新たに発表されたiPhone Airが、その「半分」の役割を担う製品である可能性が指摘され、注目を集めています。2026年にも登場するとされる折りたたみiPhoneに向けた戦略的な布石として、その意図が分析されています。

折りたたみスマートフォン市場は、SamsungのGalaxy Fold登場から6年以上が経過し、多くのAndroidメーカーが製品を投入するなど、既に成熟期を迎えています。しかし、Appleは「完璧な状態」になるまで製品をリリースしないという姿勢を貫いており、その慎重すぎるアプローチには、ユーザーから「苦痛」の声も上がっていました。

一部の専門家は、欠陥のある製品であってもまず市場に投入し、ユーザーからのフィードバックを得ながら改善していく方が、より良い製品開発につながると指摘します。Samsungが初期のトラブルを乗り越え、市場をリードする存在になった過程を例に挙げ、Appleの姿勢に疑問を呈する意見も存在します。しかし、Appleは欠陥品を出すことも、市場参入を完全に諦めることもしない、第三の道を選んだと見られています。

その「第三の道」こそ、他でもないiPhone Airの登場です。iPhone Airは「極端な薄さ」を追求したモデルですが、バッテリー寿命やカメラ性能といったユーザーが重視する点で妥協が見られます。一見すると戦略的ミスにも映るこの製品も、折りたたみiPhoneのエコシステムの一部として捉えると、その真意が理解できると分析されています。折りたたみスマートフォンは、閉じた際に厚さが倍になるため、単一のディスプレイ部分の薄さが極めて重要となるからです。

特に、iPhone Airの背面にある「Plateau（プラトー）」と呼ばれるカメラモジュール部分の段差は、見た目の評価が分かれるものの、技術的には重要な意味を持つとされます。これは、iPhoneの主要部品をケース内で自由に再配置し、薄型化を可能にするための技術的ブレークスルーを示すものであり、将来の折りたたみiPhoneで薄いディスプレイ部分と、部品を集約する厚い部分を組み合わせるための実験段階と捉えられています。

これにより、iPhone Airの5.6mmという薄い本体部分が、折りたたみiPhoneのメインディスプレイ部分として機能し、残りの部品は「Plateau」を拡大した部分に収めることが可能になると見られています。残る最大の課題はヒンジ（蝶番）の開発ですが、これも着実に進行していると報じられています。

iPhone Airは、通常のiPhone 17シリーズとは異なる「iPhone Air」という名称が与えられていることから、通常の製品サイクル外に位置付けられ、期間限定のモデルとなる可能性も指摘されています。その役割を終えれば、Appleが満を持して投入するであろう折りたたみiPhoneにその座を譲る「踏み台」としての役割を果たす、との見方が強まっています。