アップル、豪州独禁法違反判決に異議表明 App Store独占を巡る詳細公開

AppleとEpic Gamesによる法廷闘争は米国だけでなく、オーストラリアでも繰り広げられていますが、この度、同国での主要な展開がありました。オーストラリア連邦裁判所は昨年8月、AppleのApp Storeがサイドローディングや代替決済方法を禁じたことで競争法に違反しているとの判断を示しましたが、その詳細を記した900ページに及ぶ判決文が公開されました。

これに対しAppleは、MacRumorsへの声明で判決に同意しないとし、今後も法廷で自社の主張を続ける意向を示しています。同社は、「Appleがオーストラリア、あるいは世界のいかなる市場においても独占的な地位にあるわけではない」と反論。他国の裁判所で否定された「不適切な市場定義」など、判決の多くの点に強く異議を唱え、知的財産を尊重し、App Storeが提供する安全でセキュアな体験を守るための結果を求めると表明しました。

Epic Gamesは、Appleがアプリ配信をApp Storeに限定し、デジタルコンテンツのアプリ内課金を義務付け、代替アプリストアや決済方法を禁止することで市場支配力を乱用したと主張していました。裁判所はiOSを独自のエコシステムとみなし、市場定義を狭く捉えることで、AppleがiOSアプリの配信およびアプリ内決済処理において独占的地位にあると結論付けました。現時点ではAppleに変更命令は出ていませんが、裁判所はサイドローディングやサードパーティ決済に対するAppleの規約に否定的な見解を示しています。

Appleは、iPhoneを単一ブランド市場と見なすのは不適切だとし、Google PlayストアやSamsung Galaxy Store、PCやゲーム機でのソフトウェア購入ストアなど、他のプラットフォームとの競争に直面していると主張しています。実際、米国でのEpic Games対Apple訴訟を監督した裁判所を含む他国の裁判所は、この市場定義を採用していません。

さらに、オーストラリアの裁判所はEUのデジタル市場法（DMA）を代替アプリ配信が可能である証拠として引用しましたが、AppleはこれがApp Storeのセキュリティおよびプライバシー保護を回避するリスクを無視していると反論。サイドローディングはマルウェア、詐欺、ウイルスのリスクをもたらし、制限が少ないため疑わしいコンテンツにユーザーを晒す可能性があると指摘し、DMAはセキュリティ弱体化の全容をまだ示していないとして、その引用は誤りだと主張しています。

しかし、Epic Gamesがオーストラリアで完全な勝利を収めたわけではありません。裁判所は、Appleが知的財産に対して料金を請求する権利は十分にあるとし、サードパーティのアプリストアをサポートしないというAppleの拒否は正当であると認め、App Storeが提供するプライバシーおよびセキュリティ保護も認識しています。

Appleの反競争的行為とされるものに対処するための是正措置はまだ決定されておらず、Appleは現時点で変更を命じられていません。しかし、この判決を受け、Epic Gamesはオーストラリアで「フォートナイト」がiOSに復帰するだろうと主張しています。