Apple、AI人材の流出止まらず ロボットAI主任研究者もMetaへ

Appleの人工知能（AI）部門で人材流出が深刻化しています。Bloombergの報道によると、ロボットAIの主任研究者であるジャン・チャン氏がMetaへ移籍しました。同氏はMetaのロボティクススタジオに火曜日から参加しています。

さらに、Appleの「Foundation Models」AIチームからも3人の研究者がOpenAIやAnthropicに移籍。今年1月以降、少なくとも十数人のAI専門家がMetaやOpenAIなど競合他社へ転じており、昨年7月から続く人材流出に拍車がかかっています。

特にMetaは、AIエンジニアに対し他社が太刀打ちできないほどの巨額の報酬パッケージを提示しており、これが人材流出の主要因とみられています。実際、Appleの元Foundational Modelsチームリーダーであったルオミン・パン氏も、2億ドル（約300億円）という報酬パッケージでMetaに引き抜かれたと報じられています。

Appleは来年、Siriのより高性能な大規模言語モデル（LLM）版を投入する予定ですが、iOS 18への搭載が見送られた「Apple Intelligence」版Siriの遅延は「重大な失敗」とされています。フィナンシャル・タイムズの最近の報道によれば、業界のリクルーターは一連の大量離職をAppleのAIの未来に対する「信頼の危機」と見ています。

一方、Appleは2026年に第2世代Siriアーキテクチャを導入し、大幅な改善をもたらすと説明しています。また、SiriのAI機能強化のため、OpenAI、Anthropic、Googleといった第三者ソリューションの利用も検討している模様です。しかし、この検討は社内のLLMチームに緊張を生み、さらなる人材流出につながる可能性も指摘されています。