AppleがMLBとのパートナーシップ早期終了へ 「Friday Night Baseball」打ち切り報道
米Appleがメジャーリーグベースボール（MLB）との提携を早期に解消し、動画配信サービス「Apple TV+」で提供してきた「Friday Night Baseball」プログラムを打ち切る方向であることが明らかになりました。
Appleは2022年3月、年間およそ8500万ドル（約130億円）の7年契約でMLBに参入。毎週金曜夜の2試合をApple TV+で独占配信する権利を獲得していました。この契約は当初2029年まで続く予定でしたが、報道によるとAppleは早期解約条項を行使した模様で、わずか3シーズン足らずでの異例の撤退となります。
この動きは、Appleがライブスポーツ配信を本格化させる戦略の要と位置付けていた「Friday Night Baseball」からの大きな転換を意味します。提携開始当初、Appleのサービス担当上級副社長であるエディ・キュー氏は、ファンに「特等席」を提供すると語っていました。
Appleの撤退に伴い、MLBの放映権は再編される見込みです。NBCUniversalは、同社のストリーミングサービス「Peacock」を通じて、Appleが担当していた金曜夜の枠に加え、日曜の独占試合やワイルドカードラウンドの権利を獲得する見通しです。また、Disney傘下のESPNは、MLB.TVの直販サービス獲得に向けて交渉が大詰めに差し掛かっていると報じられています。さらに、Netflixが毎年恒例のホームランダービーの配信権を確保する方向とも伝えられています。
Appleにとって、現在最も大きなスポーツ契約は、2023年に締結されたメジャーリーグサッカー（MLS）との10年間、推定25億ドル（約3800億円）のグローバル契約です。Apple TV+ではMLSの全試合を視聴できる「MLS Season Pass」を提供しています。
Appleは過去にもNFLのサンデーチケットや英プレミアリーグ、Pac-12カンファレンスなどの放映権を巡って交渉を行ってきましたが、実現には至りませんでした。一方で、現在はF1の米国ストリーミング権獲得に向けて交渉中との報道もあり、今後のスポーツ配信戦略の焦点は他の分野へと移っていく可能性があります。
