Apple、再びAI幹部をMetaに引き抜かれる 人材流出が続く

Appleの重要なAI幹部であるフランク・チュー氏が、MetaのAI部門「Superintelligence Labs」に移籍したことが明らかになりました。Metaは採用活動を減速しているとの報道がありましたが、今回もAppleからAI人材を引き抜いた形です。

チュー氏はAppleでクラウドインフラ、トレーニング、検索を担当するチームリーダーの一人でした。同氏はクラウドベースの大規模言語モデル（LLM）の管理に携わり、SiriやAppleのエンターテイメントサービスの検索機能開発にも貢献していました。Metaでは、人間レベル以上のAIシステム構築を目指すSuperintelligence Labs内の新チーム「MSL Infra」で、AIインフラ開発を担います。

Metaはここ数カ月、このSuperintelligenceグループの人材獲得に巨額を投じてきましたが、市場の過熱懸念から採用を減速しているとされます。実際、先週からはグループの再編と並行して採用が一時停止されています。AI市場全体の過熱感への懸念は高まっており、OpenAIのサム・アルトマンCEOがAIはバブルにあると発言したことも、米国テクノロジー株の広範な売却につながりました。

Appleは今年1月以降、約12人ものAIスタッフをMeta、OpenAI、xAI、Cohereといった競合他社に流出させており、AI部門からの人材流出が続いています。特に注目されたのは、Appleの基盤モデルチームの責任者であったルオミン・パン氏が、マーク・ザッカーバーグCEOからの2億ドルとされる報酬パッケージで先月Metaに移籍した事例です。

この人材流出は、AppleがLLMをSiriに統合するのに苦戦している時期と重なります。昨年のWWDCで主要な「Apple Intelligence」機能として発表されたチャットボットのようなSiriは、まだ登場していません。Appleは、経営陣の再編後、Siriに自社技術ではなくサードパーティ製のAIモデルの利用を検討しているとも報じられています。

ティム・クックCEOは最近の決算発表で、「Apple Intelligence」を搭載した「よりパーソナライズされたSiri」の開発が順調に進んでいるとし、来年には機能が利用可能になると改めて表明しています。