アップル、アプリ順位の公平性巡るマスク氏の批判に反論

米アップルは、アプリのランキングが「客観的基準」に基づいていると主張し、イーロン・マスク氏による「ひいき」との非難を否定した。

マスク氏は今週、「アップルがApp StoreでOpenAI以外のAI企業が1位になるのを不可能にしている」とツイートし、これを「明白な独占禁止法違反だ」と断言。ChatGPTの競合であるGrokを開発する自身のxAI社が、「直ちに法的措置を取る」と表明していた。

しかし、マスク氏自身のプラットフォームX（旧Twitter）のユーザーが、この主張の信憑性を揺るがす動きを見せた。Xの「コミュニティノート」機能により、彼のツイートを見たユーザーは、OpenAIとアップルの提携後も、DeepSeekやPerplexityといった競合アプリがApp Storeのトップに到達したことがあると知らされた。

さらに、OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏も、マスク氏がXのアルゴリズムを自身のツイートに有利に操作していると指摘されているにもかかわらず、「驚くべき主張だ」として反論。この騒動の決着をGrokに求めたところ、Grokはマスク氏の初期の主張に事実誤認があると指摘し、アルトマン氏の主張を支持した。

このような状況下で、アップルはあえてこの論争に介入する形で、ブルームバーグの記者に声明をメールで送付した。「当社はチャートやアルゴリズムによる推奨、専門家による厳選されたリストを通じて、数千ものアプリを客観的な基準で紹介している」とし、「ユーザーにとって安全な発見、開発者にとって価値ある機会を提供することを目標としている」と述べた。

アップルはさらに、App Storeが「公平で偏りのないように設計されている」と付け加えたという。ただし、「設計されている」という表現は、実際に公平で偏りがないと断言しない曖昧さも指摘されている。

今回の短く醜い論争において、イーロン・マスク氏自身以外に、評価を落とした人物はいないと言えるだろう。アップルには特定のアプリを優遇する動機があるかもしれないが、マスク氏はそれを裏付ける説得力のある根拠を示すことに失敗した。今後、法的措置に踏み切るとしても、より多くの証拠が必要となる見込みだ。