著名Apple製品リークで知られるソニー・ディクソン氏が、引退したテック製品に新たな命を吹き込む新事業「Collectible Phones」を立ち上げ、注目を集めています。
同氏は先日、米メディアMacworldのインタビューに応じ、リーク活動の裏側から、テクノロジーと持続可能性への独自の見解を語りました。

 著名リーカーから転身、その視線の先

長年にわたり、未発表のApple製品に関する正確な情報を提供してきたソニー・ディクソン氏は、リーク界の第一人者として知られています。
自身のキャリアを振り返り、最初に大きな注目を集めたのは、従来の白黒から一変したiPhone 5cのカラフルなバリエーションに関する情報だったと語りました。
リーク活動については「もはやルーティンの一部」とし、受け取った情報は誇張せず、真偽の確認を徹底しているため、これまで法的措置を脅かされた経験はないと明かしました。
また、他のリーカーたちとは「信じられないほど友好的」であり、著名なマーク・ガーマン氏を「素晴らしい人物の一人」と評しています。
Apple社がリークをどのように捉えているかについては、「製品への関心と期待を高める良い手段」であり、企業側も広報効果を享受している可能性を示唆しました。

 新事業「Collectible Phones」：廃棄物削減と芸術的価値の追求

ディクソン氏が立ち上げた新会社「Collectible Phones」は、使用済みとなったデバイスに新たな価値を見出すことを目的としています。
具体的には、古いiPhoneなどを分解し、その部品を額装して芸術作品として展示するか、あるいは完全に修復して機能する状態に戻す事業を展開。
これは、深刻化するe-waste（電子廃棄物）問題への貢献を目指すものです。
額装されるデバイスの部品は「バッテリーを除き、ほぼ全てがオリジナルの単一ユニットから取り出されたもの」であり、バッテリーは安全上の理由からレプリカを使用しているといいます。
今後のラインアップとしては、初代iPhoneに加え、デザインの革新性で知られるiPhone 4や、Face IDとエッジ・トゥ・エッジディスプレイの先駆けとなったiPhone Xなどが検討されています。

 テクノロジーは「芸術」、持続可能性には「アップグレード優先」を

テクノロジーに対するディクソン氏の視点はユニークです。「科学者とエンジニアが生み出す芸術」と表現し、全てが人々の生活を前進させる「傑作」であると語ります。
最も心に残る製品として「初代iPhone」を挙げ、将来の芸術品としては「スマートグラスと第1世代AI」を予測しました。
さらに、テック業界の持続可能性について問われると、最も重要な変化として「廃棄ではなく、アップグレードを優先する新しいテック製品のデザイン」を提言。
消費者が最新モデルに買い替えるのではなく、現在所有しているデバイスの部品交換や修理を通じて、寿命を延ばせるようなシステム作りが不可欠だと強調しました。
これにより、電子廃棄物を減らし、よりパーソナルなテクノロジーの普及につながると期待を寄せています。