米テクノロジー大手アップルが、映画館チェーンのアップル・シネマズ（Apple Cinemas）に対し、商標権侵害で訴訟を提起しました。これに対しアップル・シネマズは、自社のブランドを擁護する姿勢を表明し、徹底抗戦の構えを見せています。

アップル・シネマズは、「自社のブランド、歴史、そしてアップル・シネマズとして事業を継続する権利を守ることに尽力する」と声明を発表。その名称は「地理的なルーツを反映したもの」であり、同社によると、当初計画されていたロードアイランド州アップル・バレー・モールに由来していると説明しています。また、「アップル社との提携を示唆する意図は一切なく、消費者の混乱は根拠がない」と主張し、自社のブランディングはアップル社と明確に区別されていると強調しました。

訴状によると、アップルは先週金曜日に提訴に踏み切りました。アップル側の弁護団は、アップル・シネマズが「意図的かつ故意にアップルの名称を使用し、自らの利益のために混乱を招いている」と指摘しています。アップルはまた、アップル・シネマズがアップルの本社や小売店に近い場所を含む、米国での全国的な拡大を進めていることに懸念を示しています。

アップルは訴訟の中で、「友好的な解決に向けた度重なる努力が不成功に終わった」と述べています。アップルは2019年からApple TV+を通じて映画やテレビ番組を配信しており、アップル・シネマズがアップル社に所有されていると誤解している消費者のコメントも引用して、その懸念を裏付けています。

アップル・シネマズは2013年から事業を開始し、現在はコネチカット、メイン、マサチューセッツ、ニューハンプシャー、ロードアイランド、ニューヨークに加え、カリフォルニア州サンフランシスコにも1店舗を構えるなど、全米で計14店舗を展開しています。しかし、同社が「Apple Cinemas」の名称と「Apple Cinemas Experience」の商標登録を試みたものの、2024年に米国特許商標庁は、アップルの既存商標との混同の可能性を理由に、これらの申請を却下していました。

アップルは、この訴訟で金銭的損害賠償と、アップル・シネマズが今後この名称を使用することを停止するよう命令を求めています。