アップルCEO、販売不振報道にも関わらずVision Proに強気姿勢

Appleのティム・クックCEOは、複合現実ヘッドセット「Vision Pro」の販売不振が報じられる中、同製品に対する強気な姿勢を崩していません。Vision Proは米国で今年2月に発売されて以来、約半年が経過しています。

クックCEOは最近の決算説明会で、「visionOS 26のリリースには非常に満足している」と述べ、空間ウィジェットによるデジタル空間のカスタマイズ機能、よりリアルになったペルソナ、企業向けの新たなAPI（アプリケーション・プログラミング・インターフェース）などが盛り込まれている点を評価しました。さらに、「引き続きVision Proに非常に注力しており、この分野を本当に信じている」と強調し、将来への期待を示しました。

 高価格と使用感への不満、販売台数は低調

Vision Proは3,499ドル（約54万円）からと高価格で販売され、M2チップを搭載しています。しかし、一部の購入者からは「高価な割に使用頻度が低い」「長時間装着するには重すぎる」といった不満の声が上がっています。クックCEO自身も以前、「3,500ドルでは量産品ではなく、明日の技術を今日手に入れたい初期採用者向けだ」と認めています。

調査会社IDCは、2024年のVision Proの販売台数を50万台以下と予測しており、現在の販売台数は100万台を下回るとみられています。

 将来のロードマップ：アップデート、軽量化、スマートグラスも

ブルームバーグのマーク・ガーマン氏によると、Appleは早ければ今年中にもVision Proのアップデートを計画しており、より高速なM4チップの搭載や、長時間の装着を容易にする新しいヘッドストラップの導入が見込まれています。

さらに、ガーマン氏は2027年には大幅な軽量化と低価格化が図られたVision Proの再設計版がリリースされると報じています。

また、著名なサプライチェーンアナリストのミンチー・クオ氏は、2027年第2四半期にはディスプレイ非搭載のApple製スマートグラスが量産に入る可能性を指摘しています。これはMeta Ray-Bansに類似し、写真・動画撮影、音楽再生などが可能になるとされています。

最終的には真の拡張現実（AR）グラスの登場も期待されていますが、これはまだ数年先になると見られています。Appleは、たとえ販売が振るわなくても、Vision Proを長期的な戦略の中核と位置づけ、次世代デバイスの開発に注力していく姿勢を明確にしています。