市場調査会社Canalysの最新データによると、2025年第2四半期において、インドが米国向けスマートフォン製造の主要拠点として中国を追い抜き、初めてトップに立ちました。これは、米中間の貿易摩擦に伴うサプライチェーンのリスク分散を加速するAppleの戦略が大きく影響しています。

同四半期、米国向けスマートフォン輸入におけるインド製の割合は44%に達し、前年同期の13%から大幅に増加しました。一方、中国製は61%から25%へと急減しました。Appleは「中国プラスワン」戦略の下、数年前からインドでの生産能力を強化しており、今期には最新のiPhone 16 Proモデルの現地組み立ても開始しています。

しかし、Appleの米国向けiPhone出荷台数は、前年同期比11%減の1,330万台に落ち込みました。これは、第1四半期の需要前倒し購入の反動に加え、消費者への経済的圧力の増加や、低・中価格帯市場での競争激化が要因と見られます。その結果、Appleの米国市場シェアは、前年同期の56%から49%へと縮小しました。

一方で、Samsungは出荷台数を38%増やし、市場シェアを23%から31%に拡大しました。米国全体のスマートフォン出荷台数はわずか1%の増加にとどまっており、消費者の新モデルへの需要は依然として低調な状況が続いています。Appleは潜在的な関税に備えて在庫を積み増しているものの、経済環境の厳しさから市場全体の需要喚起にはつながっていません。