JBLがAuracast対応ヘッドホン「Tour One M3」を発表、Appleの遅れを補完か

JBLは、最新のオーバーイヤーヘッドホン「Tour One M3」と、革新的な「Smart TX」トランスミッターを発表しました。特に注目されるのは、次世代のBluetoothオーディオ技術である「Auracast」にフル対応している点です。

近年、Appleは高解像度オーディオやBluetoothの新機能、特にAuracastの採用で他社に遅れをとっています。Auracastは、一つの音源から複数のヘッドホンや聴覚補助デバイスに同時に音声を送信できる技術であり、公共の場での情報伝達やアクセシビリティの向上に大きな可能性を秘めています。JBL Tour One M3は、このAuracastをフルサポートする最初期のヘッドホンの一つとして市場に登場しました。

 「Smart TX」で多様な接続を実現

Tour One M3の最大の特徴は、付属の「Smart TX」トランスミッターです。これは、ラップトップや機内エンターテインメントシステムなど、有線音源からワイヤレスでM3へ音声を送信できるだけでなく、Auracastを利用して複数のAuracast対応ヘッドホンにもブロードキャストが可能です。このトランスミッターは小型のタッチスクリーンを備え、音量やノイズキャンセリングの調整も手元で行えます。

 軽量設計と優れたバッテリー寿命

M3本体は278gと軽量で、長時間の装着でも快適さを保ちます。バッテリー寿命も非常に優れており、ノイズキャンセリングなしで最大70時間、ノイズキャンセリング使用時でも40時間の連続再生が可能です。急な充電が必要な場合でも、5分の充電で5時間使用できる急速充電機能も備わっています。

 音質とノイズキャンセリング

音質については、クリアで豊かなサウンドが特徴で、ディテール表現にも優れています。ただし、高音域で若干の粗さが見られる場合があり、高音質コーデックaptXに対応していない点は惜しまれます。ノイズキャンセリング機能は、航空機のエンジン音のような低周波ノイズには効果的ですが、AirPods Maxなどの高価格帯製品と比較すると、高周波ノイズの除去にはまだ改善の余地があるようです。

 総合評価

JBL Tour One M3は、単一の分野で最高性能を誇るわけではありませんが、優れた音質、印象的なバッテリー寿命、そしてSmart TXによる多機能な接続性がバランス良く組み合わされています。特に、Appleがまだ採用していないAuracastへの対応は、公共の場や多人数でのオーディオ共有において先駆的な選択肢となり得るでしょう。価格は449.95ドルとなっており、高価なライバル製品よりも手頃な価格帯で、先進技術への対応を求めるユーザーにとって魅力的な選択肢となりそうです。