Blender、iPad向けネイティブアプリの開発を発表 – タブレットでフル機能版を実現へ

人気のオープンソース3D作成ソフトウェア「Blender」が、iPad向けにネイティブアプリの開発を進めていることを明らかにしました。タブレットユーザーに特化したマルチタッチインターフェースを搭載し、フル機能版の提供を目指します。

Blender開発チームは、iPad ProとApple Pencil Proを最初のターゲットに据え、妥協することなくBlenderの全機能をタブレットデバイスで利用できる環境を目指しています。情報密度を抑えたタスク指向のUIや、既存入力方法の拡張、ワークスペースの改善など、プラットフォームに合わせた最適化が図られる見込みです。

初期バージョンでは、スカルプト（彫刻）や基本的なオブジェクト操作に重点が置かれる予定です。将来的には、「Grease Pencil」などの2Dアニメーションツールやストーリーボード機能もiPad版に導入される見込みです。公開されたモックアップでは、画面スペースを最大限に活用するため、単一ウィンドウでの作業フローや、フローティングUI、コンテキストオーバーレイによる迅速なツールアクセスなどが示されています。

開発チームは、このiPad版が「簡略化されたモバイル版ではない」と強調しています。「Blenderや3Dに不慣れな層にアピールするため、Blenderを簡略化したり調整したりする意図はない」とし、デスクトップ版のユーザーと同様に、タブレットユーザーもBlenderのコア機能を活用できることを目指しています。

現時点でのリリース日は発表されていませんが、2025年にバンクーバーで開催されるSIGGRAPH 2025でライブデモを披露する予定です。iPad Pro版のリリース後には、Microsoft SurfaceやHuawei MatePad、Wacom MovinkPadなど、他のタッチベース入力デバイスへの展開も期待されています。タブレット版開発で得られた知見の一部は、デスクトップ版Blenderにも還元される見込みです。

これまでデスクトッププラットフォームに限定されてきたBlenderにとって、今回のタブレット版開発は大きな一歩となります。