欧州連合（EU）は、アップルがデジタル市場法（DMA）への準拠に向けてApp Storeに導入した変更を承認する見通しです。これにより、アップルはDMA不遵守による日々の高額な罰金支払いを回避できることになります。

ロイター通信の報道によると、アップルは欧州委員会の要求に応じ、App Storeの手数料体系を見直し、「アンチステアリング」ルールを撤廃しました。この結果、開発者は顧客をApp Store外の購入オプションへ誘導したり、アプリ内で第三者の決済方法を利用してデジタル商品の支払いを受け付けたりすることが可能となりました。

今回の改定では、開発者向けにApp Storeサービスが機能に応じた二段階制となりました。安価な「Tier 1」では、評価・レビュー、プロモーション、検索候補、自動更新といった一部機能が利用できない代わりに、アプリ収益の5%（最大12%）の手数料が適用されます。一方、全ての既存機能が利用できる「Tier 2」では、収益の13%（中小企業向けプログラム参加者は10%）の手数料が課されます。

さらに、アップルは初期獲得手数料として2%、そして従来の批判を浴びたインストール数に応じた課金（CTF）に代わる新たなコアテクノロジー手数料（CTC）として5%を徴収します。

今後は2026年1月1日までに、サービス料、初期獲得手数料、CTCを含む単一のビジネスモデルに移行する予定です。これにより、開発者が支払う最大手数料は20%（機能限定の場合は12%）となり、インストールごとの課金は廃止されます。中小企業向けプログラムの参加者は10%から15%の範囲で推移する見込みです。

もしアップルがこれらの変更を行わなかった場合、1日あたり最大5000万ユーロ（平均日次世界収益の約5%）の罰金が科される可能性がありました。今回のApp Storeの更新は「数週間以内」に欧州委員会によって正式に承認される見通しです。

なお、アップルはすでにDMA違反の疑いで5億ユーロの罰金を科されており、これに対して控訴しています。この控訴は、罰金そのものと、欧州委員会が義務付けた新たなアンチステアリング規則の両方に対する異議申し立てです。