米Appleは、未発表のiOSに関する情報漏洩を理由に、人気のYouTuberジョン・プロッサー氏とその協力者を提訴したことが明らかになりました。企業秘密の不正流用を主張しており、秘密保護に極めて熱心なAppleの異例な強硬姿勢として、テック業界に波紋を広げています。

同社は木曜日、プロッサー氏と協力者のマイケル・ラマチオッティ氏に対し、企業秘密の不正流用をめぐる訴訟を提起。訴状では、両者が「協調的な計画」のもと、Appleの社員が所有する「開発用iPhone」に不正に侵入し、同社の秘密を盗み出して利益を得たことで、会社とその従業員に損害を与えたと主張しています。

Appleの主張によれば、ラマチオッティ氏は金銭的困窮にあり、Appleの未発表ソフトウェア設計に携わる友人イーサン・リップニック氏がいたことから、両者が協力して情報を入手することを計画したとのこと。ラマチオッティ氏はリップニック氏宅に滞在中、位置追跡機能を使ってリップニック氏が長時間不在になるタイミングを見計らい、彼のパスコードを入手。適切に保護されていなかった開発用iPhoneに侵入したとされています。そして、ラマチオッティ氏がプロッサー氏にビデオ通話で未発表のiOS 26（旧称iOS 19）の機能やアプリケーションを披露したと訴えています。

Appleは企業秘密の保護に極めて厳格なことで知られており、過去には2010年にメディア編集者宅が捜索された例もありますが、今回の提訴はリーカーに対して取られた最も攻撃的な措置の一つとみられています。

iOS 26は今年6月にWWDCで発表されましたが、Appleの未発表製品にありがちなこととして、その前から情報リークや憶測が飛び交っていました。プロッサー氏も3月には「iOS 19の最初の情報」と称する動画を投稿し、後に新しいメッセージアプリのスクリーンショットを公開していました。今回の訴訟は、プロッサー氏がその情報を、Apple自身のデバイスから入手したとAppleがみていることを示唆しています。

一方でプロッサー氏は、今回の提訴に対して反論しています。自身のTwitterで「私の側ではそのような経緯ではなかった」「誰かの電話にアクセスする計画はしておらず、状況も知らなかった」と投稿。ラマチオッティ氏が情報を入手した可能性は否定していないものの、自身がその計画に関与したことや、情報を入手するプロセスを事前に知っていたことを否定する姿勢を見せています。

今回の訴訟が、テック業界におけるリーク活動にどのような影響を与えるのか、他のリーカーが情報の取得方法を変えるのか、あるいは情報源が枯渇するのか、今後の展開が注目されます。