アップルは、競合他社が顧客を事実上の実験台として利用する傾向にあるのに対し、プロトタイプを非公開で開発・実験する企業として知られています。長らく「未完成品」を市場に投入することを避けてきたアップルの姿勢は、特に折りたたみ式スマートフォンにおいて顕著です。サムスンが5年以上にわたり新製品を投入し、様々な成功を収めてきた一方で、アップルはまだ初の折りたたみ式iPhoneを発表していません。

しかし、先日開催されたサムスンのGalaxy Unpackedイベントで発表された最新のGalaxy Z Fold 7は、これまでのような高価なベータ版製品という印象を払拭し、デザイン上の欠陥や妥協点を解消。より幅広いユーザー層に対応する、実用的な多機能スマートフォンへと成熟した感があります。これはサムスンファンにとって朗報であるだけでなく、来年発表されると噂される「iPhone Fold」を待ち望む人々にとっても、追い風となりそうです。

初期のGalaxy Z Foldモデルで最も顕著な問題は、ディスプレイ中央の折り目でした。繰り返し折りたたむことで目立つ線が生じ、高級感を損なうだけでなく、使い勝手に影響を与えたり、早期の修理が必要になったりすることもあったのです。しかし、サムスンは長年にわたる設計改良の結果、この問題を最小限に抑えることに成功。最新のZ Fold 7では、さらに耐久性の高いヒンジを採用しています。

この進歩を考慮すると、2026年9月に発売が噂されるiPhone Foldが、同様の重大な折り目問題を抱える可能性は低いと考えられます。アップルは、ディスプレイの折り目問題を最大の優先事項として、長期間にわたり持続可能な解決策を開発する十分な時間があったからです。iPhone Foldは、Z Fold 7と同等以上の完璧な状態で市場に投入される必要があるでしょう。

折りたたみ式スマートフォンのもう一つの課題は、その厚さと重さです。基本的に2台のスマートフォンを結合させながら、耐久性や高性能な仕様を維持する必要があり、薄型化は容易ではありません。しかし、サムスンはGalaxy Z Fold 7でこのデザインを最終的に洗練させました。Z Fold 7は、折りたたみ時で8.9mm、展開時で4.2mmという驚くべき薄さを実現し、重量もわずか215gです。これは、iPhone 16 Pro Max（227g、8.25mm厚）と比較しても遜色なく、事実上、折りたたんだ状態では通常のスマートフォンと変わらないサイズ感となり、展開時には超薄型タブレットになります。サムスンは薄さを追求した結果、Sペンサポートを断念せざるを得なかったほどです。

来年発表されるiPhone 17 Airが5.5mmの薄さになると噂され、また非常にパワフルなiPad Pro M4がわずか5.1mm厚であることから、アップルもiPhone Foldを同様に薄くする方法を見つけている可能性は高いと考えられます。

性能面でも、Galaxy Z Fold 7はフラッグシッププロセッサ「Snapdragon 8 Elite for Galaxy」を搭載しています。これほど薄い筐体では熱対策が懸念されますが、アップルは自社製チップでこの問題をすでに解決しています。iPad Proや次期iPhone 17 Airを見れば、アップル製チップがいかに効率的であるかは明らかです。来年発売されるとすれば、iPhone Foldは未発表の「A20 Pro」チップを搭載し、展開時にiPadOS 26のような高度なアプリウィンドウ機能を提供するでしょう。折りたたみ式スマートフォンはプレミアムデバイスとしての地位を確立しており、アップルもその最高級デバイスに最もパワフルなモバイルチップを搭載し、この流れに追随するとみられます。

薄型折りたたみデバイスにプロレベルのカメラシステムを搭載することも、サムスンが乗り越えたもう一つのハードルです。Galaxy Z Fold 7は、2億画素のメインセンサーを含む印象的なトリプルリアカメラシステムを備え、フロントカメラも100度の広角視野に対応し、グループ自撮りの際にフレームを広げることが可能です。一方で、超薄型のiPhone 17 Airにはシングルカメラが搭載されると予想されており、iPhone Foldには広角と超広角レンズのペアが搭載され、優れたポートレートモードとマクロモード（ズーム機能は限定的）を実現すると噂されています。カメラ性能ではGalaxy Z Fold 7が優位に立つかもしれませんが、アップルがiPhone Foldの撮影能力に大きな重点を置くことは確実でしょう。

フロントカメラについては、Galaxy Z Fold 7が外部ディスプレイ用と内部用で計2つ搭載しているのと同様に、アップルも同様のパスを取る可能性が高いです。ただ、Face IDがどうなるかは不明ですが、2つのディスプレイを持つiPhone Foldでは、iPad miniやAirのように電源ボタン内蔵のTouch IDに切り替える可能性も指摘されています。

アップルのファンは一般的に、革新的なハードウェアの登場を他社より遅れて受け入れることに慣れています。しかし、そのアップグレードが実現する際には、完璧な動作を期待します。アップルもこの暗黙の了解を認識しており、初代iPhone Foldがサムスンの初期折りたたみ式携帯電話のように未完成な状態で投入されることはないでしょう。ですが、Galaxy Z Fold 7の強力な競合となり得るかは別の話です。

確かにアップルは何年もの歳月をかけてiPhone Foldの潜在的な欠陥を開発・改善してきました。しかし、サムスンは何百万ものユーザーから長期間にわたり分析データとフィードバックを収集しており、アップルが限られたラボテストでは再現できない種類のデータを持っているのも事実です。iPhone Foldの耐久性や潜在的な欠陥については心配ないかもしれませんが、価格の問題があります。Galaxy Z Fold 7は256GBモデルで1,999ドルからと、iPhone 16 Pro Maxより800ドル高く、MacBook Airの2倍の価格です。iPhone Foldは2,500ドル以上になるのでしょうか。

それ以上に懸念されるのは、iPhone Foldの独自の機能、仕様、バッテリー寿命、そして日常的な使用体験が、待ち望んだ期待に応えられるかという点です。この長きにわたる待ちは、それだけの価値があるのか。間もなくその答えが明らかになるでしょう。