米通商顧問 アップル批判強める 製造拠点の中国依存巡り

ピーター・ナバロ米通商顧問は、アップルが自らを「関税を課すには大きすぎる」と考えていると皮肉り、同社が関税免除を期待しているとしてもそれは実現しないだろうと示唆した。この発言を受け、アップル株は一時的に下落した。

ナバロ氏はティム・クック最高経営責任者（CEO）に対し、アップルの製造拠点を中国から米国に移転させていないことを繰り返し批判。クック氏が製造シフトを遅らせていると非難し、これを「シリコンバレーで最も長く続くメロドラマ」と酷評した。同氏は、クック氏がトランプ大統領の米国製造要請に応えるペースが遅いと主張し、アップルが「iPhoneを他所で製造できないとは考えられない」とも発言している。

一方、アップルはトランプ政権が進める通商協定の見直しの中で、中国などの国々で高関税に直面している。しかし、ティム・クックCEOや業界専門家らは、米国でのiPhone製造は極めて困難だと指摘する。工場建設や先進機械導入の費用だけでなく、iPhone製造に必要な専門技術を持つ人材の確保が難しいことなどを理由に挙げている。クック氏は、中国には先進的な製造における専門的なノウハウがあると主張している。

トランプ大統領自身も、アップルには米国でiPhoneなどを製造する能力があると繰り返し述べている。過去には、米国で販売されるiPhoneを米国で製造しない場合、25％の関税を課す可能性を示唆した経緯もある。また、クック氏が「インドでの製造を拡大している」ことにも不満を表明し、インドでの事業拡大を止めるよう要求したことさえあった。

アップルは50カ国以上から部品を調達し、79カ国から希土類鉱物を輸入しており、iPhoneの全部品を一国から調達することは不可能とされる。仮に米国で組み立てるだけであったとしても、高コストな人件費などにより、iPhoneの価格は大幅に上昇すると見られている。