Apple Watch輸入禁止、Appleが解除求め控訴 – 血中酸素機能巡る特許紛争

Appleは、Apple Watchの血中酸素飽和度測定機能に関する米国の輸入禁止措置について、米連邦控訴裁判所に解除を求めています。同社は、この決定が未開発の競合製品を巡る特許紛争に基づいていると主張しており、医療技術企業Masimoとの法廷闘争の行方が注目されています。

この輸入禁止措置は、2023年10月に米国際貿易委員会（ITC）がMasimo社の特許侵害を認定したことに端を発します。対象はApple Watch Series 9およびApple Watch Ultra 2で、パルスオキシメトリー（非侵襲センサーによる血中酸素飽和度測定）に関するMasimo社の特許を侵害したと判断されました。

Appleは今週の審理で、Masimo社が2021年に訴訟を提起した時点で、同社の競合スマートウォッチ「W1」（血中酸素トラッキング機能搭載）はまだ市場に投入されていなかったと主張。W1が発売されたのは2022年で、Appleがこの機能をApple Watch Series 6に導入した2年後であると強調しました。Apple側は、仮説的な製品に基づいて貿易制限を正当化すべきではないとし、「数百万人のApple Watchユーザーから血中酸素機能を奪った」ITCの決定は不当であると訴えています。

これに対しMasimo側は、Appleが「法律を書き換えようとしている」と反論。訴訟提起時に物理的・商業化された製品が存在しない限り、ITCは輸入を阻止すべきではないというAppleの主張は認められないと述べました。

ITCによる輸入禁止命令は、2023年12月に一時的に停止されましたが、2024年1月には再開されました。これを受けAppleは、米国内での販売を再開するため、米国向けに販売されるSeries 9、Ultra 2などの新モデルで血中酸素センサーを無効化する措置を講じています。

この件は現在、米連邦巡回控訴裁判所で審理が続いており、年内にも判決が下される見込みです。