iPhone衛星通信機能が登山者を救助、山岳事故で活躍

米コロラド州の山岳地帯で先週末、負傷した登山者がAppleのiPhoneに搭載された衛星通信機能によって救助される出来事がありました。携帯電話の電波が届かない場所での緊急連絡手段として、この新機能が人命救助に貢献したと地元メディアが報じています。

事故に遭ったのは53歳の男性で、スノーマスマウンテンの標高1万フィート（約3,000メートル）を超える地点で立ち往生しました。男性は山頂からの下山中、雪上を滑り降りる「グリセード」と呼ばれる方法を試みていた際に手首を負傷し、自力での行動が困難になりました。スノーマスマウンテンは落石や氷のため危険なハイキングコースとして知られています。

現場は携帯電話の電波が届かない場所でしたが、男性は手持ちのiPhoneの衛星テキストメッセージ機能を使って家族に連絡を取ることに成功。家族はすぐに保安官事務所と山岳救助隊「マウンテン・レスキュー・アスペン」に事態を伝えました。

男性は、駐車エリアから約8マイル（約13キロメートル）離れたスノーマスレイク付近で発見されました。自力での下山が不可能だったため、到着した17名の救助隊員が約9時間をかけて安全な場所まで搬送しました。救助隊は午前8時25分頃に現場に到着し、男性が安全に下山したのは午後5時30分でした。

iPhone 14以降のモデルに搭載されている衛星通信機能は、携帯電話やWi-Fiの接続がない場所でもテキストメッセージの送受信を可能にするものです。特に「緊急SOS」機能は、遭難者が直接緊急サービスに連絡を取れるよう設計されており、今回の救助活動でもその有効性が示されました。

ピトキン郡保安官事務所はプレスリリースの中で、登山者に対し、緊急時用通信機器の携行とAppleの衛星テキスト機能の習熟を推奨しています。「もし助けが必要な場合は、ためらわずにSOSボタンを押してください。これにより、マウンテン・レスキュー・アスペンは直接連絡を取り、迅速な対応を調整することができます」と呼びかけました。