Macのデータ消失、慌てずに。故障したドライブからの復旧と予防策。

Macのバックアップは重要だとわかっていても、実際にデータ損失に直面するまで対策を怠りがちです。本記事では、Macが起動しなくなった場合やデータが消失した場合の復旧方法、さらには誤ってファイルを削除してしまった際の対処法について解説します。最も重要なのは、データ復旧に成功した場合も、今後の損失を防ぐための予防策を講じることです。

誤ってファイルを削除した場合も、データが上書きされていなければ復旧できる可能性がありますが、一度上書きされたデータは二度と戻りません。

 # ディスクユーティリティによる初期診断と修復

幸運にもドライブの損傷が軽度であれば、Macに内蔵されている「ディスクユーティリティ」アプリケーション（アプリケーション＞ユーティリティフォルダ内）で問題を解決できる可能性があります。

Macが起動できる状態であれば、ディスクユーティリティを開き、左側のリストから問題のあるディスクを選択後、「First Aid（応急処置）」を実行します。これにより、ボリュームのエラーがチェックされ、必要に応じて修復されます。このプロセスは通常短時間で完了し、軽度の問題であればファイルにアクセスできるようになるでしょう。

 # リカバリーモードからの復旧

Macが正常に起動しない場合でも、ドライブの故障が致命的でなければ「リカバリーモード」からの起動が可能です。このモードはドライブ上の専用パーティションからmacOSを起動するため、メインドライブに影響を与えません。

MシリーズMacでは起動時に電源ボタンを長押し、Intel MacではCommand+Rキーを長押ししてリカバリーモードに入ります。そこからディスクユーティリティを起動し、上述のFirst Aidを実行してドライブの修復を試みてください。

復旧したファイルを保存するためには、別途外付けドライブを接続することが不可欠です。また、修復できたとしても、その故障したドライブに新たなファイルを書き込むことは避け、すぐにデータバックアップを行うべきです。

 # 外部起動ドライブの活用

リカバリーモードでの起動が難しい場合や、古いMacを使用している場合は、外部起動ドライブからMacを起動する選択肢もあります。これにより、故障した内蔵ドライブに依存せずにシステムを立ち上げ、ディスクユーティリティを試すことができます。

 # データ復旧ソフトウェアの利用

ディスクユーティリティやリカバリーモードでもドライブが認識されない場合でも、データ復旧ソフトウェアが有効な場合があります。OSがドライブと通信できる限り、データ復旧の可能性は残されています。

多くのソフトウェアは無料のスキャン機能を提供しており、復旧可能なファイルを確認してから購入を検討できます。ファイルが上書きされていない限り、ディレクトリ情報が破損していても、ソフトウェアがデータパターンを解析してファイルを再構築することが可能です。復旧には時間がかかる場合がありますが、諦めずに試す価値はあります。

推奨されるデータ復旧ソフトウェアには、「Wondershare Recoverit」「Stellar Data Recovery」「Prosoft Data Rescue」「CleverFiles Disk Drill Pro」などがあります。

 # ドライブの物理的な取り外し（最終手段）

上記のいずれの手段も成功しない場合の最終手段として、MacからハードドライブやSSDを物理的に取り外す方法があります。ただし、2016年以降のMacではSSDがロジックボードにはんだ付けされているため、この方法は非常に困難であり、専門知識が必要です。古いMacのHDDであれば、専用ツールを使って取り外し、外付けUSBケースに入れて別のMacに接続することで、データを回復できる可能性があります。

この方法はリスクが伴いますが、ドライブが物理的にマウント可能であれば、重要なファイルを優先的にバックアップできる貴重な機会となります。

 # 最も重要な予防策：定期的なバックアップ

データ消失に直面した際のストレスと損失は計り知れません。本記事で紹介した復旧方法は、万が一の事態に対応するためのものですが、最も確実な対策は、日頃からの完璧なバックアップ戦略を確立することです。

今すぐにデータ復旧の必要がない方も、この機会にMacのバックアップ戦略を見直し、未来のトラブルに備えることを強くお勧めします。