元Appleのチーフデザイナー、ジョニー・アイブ氏とOpenAIが共同で開発を進めるAI消費者向け新製品について、新たな詳細が判明しました。法廷提出書類から、このデバイスが「インイヤー型でもウェアラブル型でもない」ことが明らかになり、これまで憶測されてきた製品の形状に大きな変化が生じています。

今回の情報は、OpenAIがアイブ氏共同設立のハードウェアスタートアップ「io」を買収したことに関連する商標権侵害訴訟の中で公になりました。Googleが出資する企業iyOが、自社のインイヤー型デバイス「世界初のオーディオコンピューター」の商標権を侵害されたとしてOpenAIとioを提訴。iyOは、ioとOpenAIの幹部がiyO製品について認識し、デモを要請していたことを示すメールを証拠として提出していました。

これに対し、ioの共同設立者で元Apple幹部のタン・タン氏は今月、法廷で反論。ioが既存のイヤホンや補聴器など幅広い製品を調査したことを認めつつも、最初に発売するデバイスはインイヤー型でもウェアラブル型でもないと明確に述べました。さらに、この製品の発売は少なくとも1年後になると付け加えています。

この新事実は、著名な業界アナリストであるミンチー・クオ氏の「首にネックレスのように着用できる」という最近の予測と矛盾します。これまでの情報では、このAIデバイスはポケットサイズで、周囲の環境や利用者の生活を文脈的に理解し、完全にスクリーンフリーであるとされていました。OpenAIのサム・アルトマンCEOは、アイブ氏のプロトタイプを試用した後、社内スタッフに対し「世界が見たことのない最もクールなテクノロジーになる」と語ったと報じられています。

OpenAIはioを65億ドルで買収しており、アルトマンCEOはこの取引が同社に1兆ドルの価値をもたらす可能性を示唆しています。目標は2026年後半までにデバイスを出荷すること。OpenAIは、1億台の製品を「これまでどの企業よりも早く」出荷するという野心的な計画を掲げています。

謎に包まれてきたこのAIデバイスに関する今回の新たな情報は、具体的な形状を期待していた人々にとっては少々期待外れかもしれません。アイブ氏が最後に消費者向け電子製品のデザインや発売を監督してから数年が経っており、その最終的な製品の品質や耐久性については、引き続き注目が集まります。