Appleは現在、欧州連合（EU）のデジタル市場法（DMA）への不遵守を巡り、欧州委員会と土壇場の交渉を進めています。これは、EUから科される新たな高額罰金を回避、またはその適用を遅らせるための動きです。

同社は今年初め、開発者がAppleのアプリ内決済システム外の代替購入オプションへユーザーを誘導することを妨げたとして、5億ユーロの罰金を科されました。この慣行は規制当局から「アンチステアリング（誘導妨害）」と呼ばれ、今年3月にAppleを含む指定ゲートキーパーに適用が始まったDMAで明確に禁止されています。

交渉に詳しい関係者によると、Appleは6月26日木曜日の期限を前に、新たな譲歩案を提示する準備を進めているとのことです。この期限を過ぎると、欧州委員会はAppleの平均世界売上高の最大5%に相当する日額罰金を科す権限を持つことになります。Appleの2023年の売上高3830億ドルを基にすると、この罰金は1日あたり5000万ドル（約79億円）以上にも上る可能性があります。

Appleが提示すると予想される譲歩案は、主に「ステアリング（誘導）ルール」に関連すると見られています。これまでのルールでは、開発者はAppleの決済インフラを使用することが義務付けられ、ユーザーを外部の購入プラットフォームへ誘導することが禁止されていました。今後提示される提案では、これらの制限が緩和される可能性があります。

Appleは3月、iOS 17.4でEU向けの代替アプリマーケットプレイスの新しい枠組みを導入し、開発者がサードパーティのアプリストアを通じてアプリを配信したり、アプリ内で代替決済方法を使用したりできるようにしました。しかし、一部の大手開発者や欧州委員会自体は、これらの変更ではDMAの要件を満たすには不十分だと主張しています。

特に焦点となっているのが、「コアテクノロジーフィー（CTF）」と呼ばれる費用です。これは、App Store外で配信されるアプリに対し、年間100万ダウンロードを超えた分から1インストールあたり0.50ユーロを課金するもので、Appleと欧州委員会の最近の交渉でもこのCTFが議題に上ったとされています。