Apple、生成AIをカスタムチップ設計に活用検討か – ハードウェア責任者が言及

Appleが独自のカスタムチップ設計プロセスを高速化し、効率を高めるため、生成AI技術の導入を検討していることが明らかになりました。これは、同社ハードウェア担当上級副社長のジョニー・スルージ氏が昨年11月にベルギーで行ったスピーチの中で言及したものです。

スルージ氏は半導体研究グループImecから賞を受賞した際の講演で、生成AIがチップ設計において「より少ない時間でより多くの設計作業を可能にし、生産性を大幅に向上させる可能性を秘めている」と語りました。また、チップ設計の複雑性を支える上で、電子設計自動化（EDA）企業のCadenceやSynopsysといった企業が「極めて重要」であるとも述べました。これら企業もAIを自社のチップ設計ソフトウェアに統合する動きを加速させているとされます。

このニュースは、Appleが消費者向けAI分野での出遅れを指摘されている中で報じられました。GoogleやOpenAIといった競合他社が先行する中、Appleが発表した「Apple Intelligence」も他社の提供するサービスに追いつくのに苦戦していると見られています。スルージ氏の発言は、Appleがユーザー向け機能に限定せず、チップ開発という裏方にもAIを活用する、より包括的なアプローチを採っている可能性を示唆しています。

スピーチの中でスルージ氏は、2010年の初代A4チップから今日のプロセッサに至るまでのAppleのシリコン開発の道のりを振り返りました。特に、2020年にMacをIntel製チップからApple Siliconへ移行させた「大胆な決断」を強調しました。

同氏は「MacをApple Siliconに移行させることは、当社にとって非常に大きな賭けでした」と説明。「バックアッププランはなく、ラインアップを分割する計画もありませんでした。私たちは大規模なソフトウェア開発努力を含め、すべてを投入したのです」と語りました。

この移行は、AppleのMシリーズチップによって、電力効率あたりの性能、バッテリー寿命、熱効率、ソフトウェア互換性において劇的な向上をもたらし、紛れもない成功を収めています。